ディン・Q・レ展:明日への記憶

ディン・Q・レはカンボジアとの国境付近のハーティエンに生まれ、10歳の時、ポル・ポト派の侵攻を逃れるため、家族とともに渡米しました。写真とメディアアートを学んだ後、ベトナムの伝統的なゴザ編みから着想を得た、写真を裁断してタペストリー状に編む「フォト・ウィービング」シリーズ(1989年~)を発表し、一躍注目されることになります。また、レは綿密なリサーチとインタビューに基づき、人々が実体験として語る記憶に光を当てます。国際舞台への出世作となった映像インスタレーション作品《農民とヘリコプター》(2006年)では、自作のヘリコプターの開発に挑むベトナム人男性を中心に、ベトナム人と戦争との複雑な関係を巧みに描き出しました。
ベトナム戦争終結から40年、日本にとっては戦後70年の節目を迎えたいま、国家や社会の「公式な」歴史の陰で語られることのなかった市井の人々の名もなき物語を読み直しつつ、アートと社会のより密接な関わりを探ることはきわめて重要な課題ではないでしょうか。本展ではディン・Q・レの作品とユニークな活動を通して、私たちの過去と現在、そして未来について考えます。

■ 森美術館初、東南アジア(ベトナム)出身アーティストの大規模個展
本展は、アジアのアーティストに注目し、主に東アジア出身アーティストの個展を開催してきた森美術館にとって、初めて東南アジア出身アーティストを紹介する大規模個展となります。近年、経済的にも急激な成長途上にあり、アート・マーケットの動向も活発な東南アジアのアーティストのなかでも、特に国際的評価の高いディン・Q・レに焦点を当てます。

■ バラエティに富む、ダイナミックな作品の数々
写真を工芸的に編んでいく「フォト・ウィービング」シリーズなどベトナムの手仕事を取り入れた作品、完成度の高い映像と本物のヘリコプターや舟などを組み合わせたインスタレーションなど、視覚的バラエティに富む、ダイナミックな作品が紹介されます。

■ ていねいな取材とインタビューに基づいて語られる新たな歴史
綿密で、人の深層心理にまで踏み込む独特の取材によって、個人の記憶と物語がドラマティックに生成されます。マス・メディアやハリウッド映画によって流布されたベトナム戦争のイメージとは全く異なる、ベトナム人当事者のこれまで語られることのなかった物語が表出します。

■ 日本のいまを捉える新作
ベトナム戦争のリエナクトメント* に興じる日本人男性への取材を基に新作映像を制作。新たなベトナム戦争のヴィジョンを捉えるとともに、日本の歴史や記憶、アイデンティティの問題などについて考えます。
* リエナクトメント:歴史的出来事を再演する活動

■ 日本の戦後70年、ベトナム戦争終結から40年という節目の年に、歴史を再考・議論する場を提供
2015年という節目の年に、報道写真を通して見るベトナム戦争、ベトナム戦争が日本社会や日米関係に与えた影響、また、今日のベトナムの現代アートシーン、ビジネス・マーケットとしてのベトナムの魅力など、さまざまなテーマでレクチャーやセッションを開催することで、活発な議論の場を生み出します。
開催地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開催日時
7/25/15, 10:00 AM - 10/12/15, 10:00 PM
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
アクセス
東京メトロ日比谷線「六本木駅」徒歩0分 (コンコースにて直結)。
都営地下鉄大江戸線「六本木駅」徒歩4分。
都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」徒歩5分。
RH01系統バス(渋谷~六本木ヒルズ)「六本木ヒルズ」 「六本木ヒルズけやき坂」下車。
JR渋谷駅より都営01系統バス(渋谷~新橋)「EXシアター六本木前」 「六本木駅前」下車。
JR品川、五反田駅より都営96系統循環バス(品川・五反田~六本木ヒルズ)「六本木ヒルズ」 「六本木駅前」下車。
JR渋谷駅より都営渋88系統バス(渋谷~新橋)「EXシアター六本木前」「六本木駅前」下車。